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IoTビジネスにおける各立ち位置を整理(製造業の情シスはヤバい)

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こんにちは、鬼畜メガネです。
製造業の情シス部門で働いています。先日会社でIoTを推進する立場に任命されました。自分(自社)がIoTの分野でどのようなポジションをとるべきか考えているときに、良い書籍があったので整理してみました。

ということで今回は"IoTビジネスにおける立ち位置を整理(製造業の情シスはヤバい)"というテーマを書いていきたいと思います。

 

1. IoTの事業領域

 IoTの事業領域は多岐に渡ります。"IoTビジネス入門&実践講座"ではその事業領域(ランドスケープ)を以下図のように定義しています。IoTビジネスの企画にあたっては、既存事業や新規事業がどのあたりに位置するのか、その内側や外側にどのようなモノやヒトのネットワークが存在するのか把握しておく必要があります。

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図 IoT ランドスケープ

 

1.1. ヒト

モノ
スマートフォンタブレットウェアラブル端末

1.2. 家庭

モノ
スマートホーム、コネクテッドホーム

1.3. 車両

モノ
自動車、トラック、バス、コネクテッドビークル

1.4. 都市

モノ
スマートグリッド、スマートな道路、スマートな建物

1.5. 商業

モノ
リテール、公共交通機関

1.6.産業

モノ
エネルギー(石油・ガス)、精製、パイプライン、電力発電、製造、農業、物流、R&D、ヘルスケア

 

2. IoT のポジショニング

 Internet of Things (IoT) は直訳すると"モノがインターネットにつながる"ようなものです。

製造業でのモノづくり、電子機器のICT、ソフトウェアの技術、ネットワークの技術、などなど、技術・事業領域が広すぎて1社でその全ての要素を賄うことはほぼ無理です。複数の企業がコラボレーションする必要があります。

コラボレーションするにあたり、自社がどの立ち位置をとるかをしっかり考慮しなければなりません。

今回はIoTビジネス入門&実践講座という書籍から引用した以下のポジショニングについて整理したいと思います。

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2.1. ビジネスデザイナー

 顧客に対してIoTソリューションを提供する人です。必ずしも最先端の技術に精通している必要はありません。それよりも顧客にニーズを汲み取る能力、技術をビシネスに活用する能力が求められます。

顧客の望むモノ・サービスを要件定義し、それを満たすIoTソリューションを企画します。

2.2. オーガナイザー

 顧客ニーズと技術シーズの調和させる人です。ビジネスデザイナーからの定性的なサービス・ビジネス要件を定量的な技術仕様に「翻訳」し、要素技術・ハードウェア・ソフトウェアを組み合わせることで具体的な仕様に落とし込みます。ビジネスデザイナーに企画の軌道修正をアドバイスしていきます。

2.3. テクノロジーインベンター

 新たな技術を開発してIoTの技術的な課題を解決します。新たな技術とは代表的なものはセンサーに関するものです。体に長時間つけても不快感の無い新素材のセンサーや安いセンサーの量産技術などです。

2.4. プロデューサー

IoT分野で必要なハードウェアやソフトウェアを開発・提供する。
ビジネスデザイナーやオーガナイザーにその仕様や活用方法などを提供する。

電子部品メーカー、ソフトウェアベンダー、クラウド事業者、通信業者など。

2.5. プラットフォーマー

IoTシステム開発の効率化を促進します。ある目的・顧客層に絞ったIoTシステムを予め構築し、そのシステムを、いわば製品やサービスの骨格としてビジネスデザイナーに提供します。

IoTシステムとは以下5つの機能

サービス連携

通信仕様やOSが異なるIoTデバイスWEBサービスを組み合わせるなど、異なるシステムをつなぐためのプラットフォーム

アプリケーション

データ解析結果をわかりやすく表示し、通知するアプリケーションを提供するプラットフォーム

データ解析

収集・蓄積した大量のデータを分析するプラットフォーム

データ管理

大量のデータを安全に蓄積・管理・可視化するためのプラットフォーム

バイス

特定の目的のIoTデバイスを簡単に開発するために必要な部品を提供するプラットフォーム

2.6. アセンブラ

IoTビジネスの拡散・促進
IoTデバイスを製造、ソフトウェアをパッケージ化。

electronics manufacturing service(EMS)事業者

2.7. エンハンサー

ビジネスデザイナーが提供するIoTソリューションのビジネスモデルを再構築する。

 

3. 製造業の情シスはヤバい立ち位置

 IoTビジネスの立ち位置を整理してみての自分の所感ですが、"オーガナイザー"がヤバいですね。色々な分野の専門を持つ人々と関わってます。

 B to C の分野の製造業の情シスがIoTを推進するということは、このオーガナイザーろして立ち振る舞う必要があるということですね。例えばMobility as a Service (MaaS)なんかでは、「車の中がどんなネットワークでどんなデータを持っていてそれをどう使うと目的のソリューションができるか」なんかは車メーカーが旗を振るしかないですよね。各要素に詳しいセンサーメーカーや車内ネットワークメーカーなんかが旗を振ることはできないですよね。

色々な分野の専門家と有意義な話をするには各分野に対する知識がそこそこ必要となってきます。どんな知識が必要かは"IoTの全てを網羅した決定版 IoTの教科書"で整理されていました。

以下8つに分類できるようです。
・戦略とマネジメント
・産業システム
・法律
・ネットワーク
・デバイス
・プラットフォーム
・データ分析
・セキュリティ

これらを深堀すると長くなりそうなのでまた別の機会にまとめたいと思います。

3.1. 例:IoTと自動車保険で必要な知識

 例として以下リンクにあるような"車の走行データから安全運転だったら保険料が安くなる"ケースを考えてみます。
"IoT(コネクテッドカー)で自動車保険は安くなる?"

その中で例えば「車両運転情報をクラウドへ送信して」と一言で書いていますが、その中を見ると壮絶です。


・Controller Area Network (CAN)には何のセンサーや制御ユニットがあってどんな情報が取れるの?
・取れないデータは別の装置を設置する必要がある?
・加速度センサーで取得できた波形データをどう扱うの?
・全データを全てクラウドへ送信してたら大変。どのデータをどれだけエッジ側で処理する必要があるの?
・どんな通信プロトコルでデータを送る?
・何をもって安全運転とするの?(データの統計的な処理?)
・保険会社に送るデータのうち個人情報にあたるのはどれ?

などなど色々な知見が必要です。

 

4. 最後に

・IoTの事業領域を整理しました。

・IoTのポジショニングを整理しました。

・B to Cの製造業の情シスはなんか一番ヤバそうなとこにいるような気がします。


こんなのできる人いるの??と思いますが、逆に言えばこれができれば今後IoTが発展していく世の中では引く手数多の人材になれそうです。
ただ、"On the Job Training OJT"で実務経験から学ぶだけではもう絶対無理です。
本気で推進していくなら実務以外で学んでいかなければ厳しいでしょう。

オンラインのスクールが人気です。ここで速やかにソフトウェアの基礎を身につけるのも手段の一つではないでしょうか

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以上、ありがとうございました。

 

 

IoTビジネス入門&実践講座

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IoTの全てを網羅した決定版 IoTの教科書

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IoTの基本・仕組み・重要事項が全部わかる教科書

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